... HOME 新刊・近刊 今月のコラム 本を探す 教育・子育てフリートーク 太郎次郎社OVERVIEW 本を買うには リンク ... ...
...

本を探す  

  「ホームレス」襲撃事件と子どもたち
「ホームレス」襲撃事件と子どもたち
いじめの連鎖を断つために
北村 年子●著
■2009年07月発行
■四六判・並製 432ページ
■本体2200円+税
■ISBN978-4-8118-0728-7 C0036
「大阪・道頓堀事件」から14年。子どもたちによる「ホームレス」襲撃はやまない。ときに命さえ奪う弱者嫌悪の根源に迫ったルポ。川崎の教育現場での取り組みを第 II 部に、この10年の事件と新たな取り組みを第 III 部に。前著に大幅加筆した完全保存版。
本を買うには 購入する

■おもな目次

はじめに

■第 I 部 〈ゼロ〉
      ──大阪「道頓堀川ホームレス殺人」事件 1995─1997
プロローグ

i“事件”の原風景
 被災地・神戸の金髪少年
 道頓堀の“橋の子”たち
 「人間」の街・釜ケ崎
 路上に生きた命

ii“弱者いじめ”の連鎖
“いじめ連鎖”という地獄
 奪われた自尊感情
 拘置所から届いた手紙
 いじめる側の真意
 強者からの断罪
 いのちへの謝罪

■第 II 部 野宿者と子どもたち
      ──川崎の取りくみ 1995─1997
 路上から教室へ
 大人たちの自問
 子どもたちの本音
 共生の場

■第 III 部 いじめの連鎖を断つために
       ──いま、なにができるか 1997─2009  
二〇〇九年、冬  
暴発する怒り  
殺したものと殺されたもの  
自尊感情の回復  
いま、私たちにできること

■エピローグ 大切なただ一人のきみへ

あとがき
巻末資料──野宿者襲撃事件・略年表
■著者紹介

ルポライター、ノンフィクション作家。1962年、滋賀県生まれ。
デビュー作『少女宣言』(長征社・1987)が大きな話題を呼ぶ。以後、女性・子ども・ジェンダーをおもなテーマに取材・執筆活動をすすめ、近年は「いじめ」「ホームレス問題」についての講演や、子育て・子育ち支援のセミナー、自己尊重ワークショップなども精力的におこなっている。
2008年、「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」を呼びかけ、共同代表となって立ち上げる。
著書に『おかあさんがもっと自分を好きになる本』(学陽書房)、『子どもを認める「ほめ方・叱り方」』(PHP研究所)、共著に『貧魂社会ニッポンへ 釜ヶ崎からの発信』(アットワークス)などがある。
■関連記事

◎上野千鶴子さん………………この、いのちへの哀しみと愛しみ

 十四年前の道頓堀事件は、ゆきばのない無職の青年が、ホームレスの男性を襲撃し死なせてしまうというやりきれない事件だった。「ゼロくん」と名づけた加害者の青年に、北村年子さんはふかく関わるようになる。罪の意識のない「ゼロくん」が、いのちと他者への想像力にめざめていく過程に、真摯に伴走したドキュメントが前著だった。

 それからも弱者が弱者を攻撃する、陰惨で救いのない事件はつづいた。「ゼロくん」はひとりではなかった。いくにんもの「ゼロくん」が、何人ものホームレスの人々を攻撃し、殴打し、死に至らしめた。泥沼のように格差が拡大する社会で、いつ、だれが「攻撃する側」になっても「攻撃される側」になってもおかしくない、そんな時代に、この増補版が刊行される…。

 北村さんにとって、このしごとは「ライフワーク」になる、と思った。そのとおり、十四年をかけたこのしごとは、文字どおりの「ライフワーク」、いのちがけのしごととなった。
 彼女は単純な被害者の正義の立場に立たない。弱者がほんのはずみで加害者にも被害者にもなりうることを見据え、加害者を被害者に出合わせようとしてきた。両極にひきさかれる彼女の哀しみは、いのちへの愛しみでもある。そのいのちがけのかなしみの大きさに、読者はどこまで追いつけるだろうか。(社会学・東京大学大学院教授)


◎湯浅 誠さん……………………真の和解を考えぬいた到達点

 道頓堀事件から十四年。私の活動期間でもあるこの歳月を、著者は一貫して襲撃する者とされる者の出会いと償い、そして真の和解を考えぬくことで生きてきた。

 大人の差別意識を子どもが継承・増幅すること、襲撃といじめを等価に見る視点、それによって支えられる自意識とそれ以外に支えてくれない承認の欠如。大人と子どもを等しく覆っているこの社会の生きづらさは、著者の低くて近しい目線によって明らかにされてきた。そして、それでも残るわからなさも含めて包みこもうとする姿勢……。

 終章、著者の筆致はそれまでとは違った「迷いなさ」を示す。そして、迷いつづけたすえに到達した「迷いなさ」がエピローグの自己開示をもたらす。それが、「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」に集う人々によって著者の試行錯誤が受け入れられたことの帰結であることは明らかだ。

 受け止められ、迎え入れられることによって開いていくこの関係のありようと著者の軌跡それ自体が、本書のテーマである襲撃する者とされる者、加害者と被害者の真の和解の生きられたモデルケースになっているという、稀有なルポルタージュである。(反貧困ネットワーク事務局長・年越し派遣村村長)
■関連ホームページ

ホームレス問題の授業づくり全国ネット http://class-homeless.sakura.ne.jp/
本を買うには 購入する
...
HOME 新刊・近刊ニュース 今月のコラム 本を探す 教育・子育てフリートーク 太郎次郎社OVREVIEW 本を買うには リンク

HOME
新刊・近刊ニュース今月のコラム本を探す教育・子育てフリートーク太郎次郎社OVERVIEW本を買うにはリンク
 
copyright(c)TaroJiro co,.ltd.Allright Reserved.