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いのちをみつめる
・・・・・March3
 

『さよなら エルマおばあさん』
写真・文/大塚敦子
2000年・小学館

[内容紹介]
 ガンの告知をうけ1年しか生きられないことがわかったエルマおばあさんが、残りの時間を延命処置をほどこさずに自然のかたちで死を迎えていくありさまと、おばあさんを愛する人々が暖かく最後を看取っていくようすが、飼い猫の視点(写真での記録)で描かれています。
  おばあさんは「死ぬってことはね、魂が、この体をでて、こことは別の世界に行くだけなんだからね」と言いちっとも悲しそうでないのです。

 

   

いのちをみつめる (モモ)

 小二の娘のハムスターがある日死んでしまいました。娘は何日もめそめそしていました。ハムスターの名前はみーちゃんといいました。パパがみーちゃんを庭に埋めてくれました。娘はみーちゃんのお人形を作ってゲージに入れ、いまでも自分の部屋に置いています。みーちゃんの死は彼女にとって相当ショックだったようです。しかしその直後に亡くなったおじいちゃんの場合はというと亡骸を前にして涙を流さなかったのです。遠く離れたところに住んでいたとはいえ一緒に旅行に行ったり、長い休みには何日も泊まっていろいろ面倒をみてもらったかけがえのない祖父だったと思うのですが……。

 しばらくしてから娘にさりげなく尋ねてみました。「だっておじいちゃんは一緒に暮らしていないもの」という答えが返ってきました。彼女にとって「死」は自分が愛情を日常注いでいるものが死を迎えたときのものであって、それ以外はニュースで報じる悲しい事件を見聞きするのと同じ次元なのでしょうか。「死」を考えることは命の大切さを知る良い機会だと思い、娘と一緒に「さよならエルマおばあさん」を読みました。

 エルマおばあさんが自分に残された時間にしたことは、親しい友達や親戚に別れを告げ、家族の歴史を書き記し、死を迎える心の準備を家族と語らうことでした。
 そんなおばあさんの勇気と優しさに、家族はおばあさんと一緒にくらせてほんとうによかったと思います。そしておばあさんとの思い出をずっと忘れないからとも思うのです。家族にとっておばあさんはかけがいのない存在だったのです。人が生まれる前の世界と命が終わるまた終わっての世界については誰も知るよしがありません。だから死について語ることはタブーになっているのか、または不安があるのです。死を迎えるのは家族にとっても大きな衝撃です。だからこそ、エルマおばあさんの穏やかな死は悲しみ以上に人として生まれ、くいのない人生を過ごせたことへの満足感を感じさせてくれます。

  読み終わったあと娘を見ると目にいっぱい涙をためていました。おじいちゃんの死がいまさらながら脳裏をよぎったのでしょうか。それでも彼女にはなんとも穏やかな表情も伺えました。話をするのはまた後の機会にしようと一人部屋をでました。部屋のなかではもう一度ページをめくる娘の姿がありました。


(はしの)

  私の妻のお父さんは、結婚式の半月前に突然亡くなりました。
  モモさんの文章を読んだ妻はこう言いました。
  「今このときにわからなくても、この本と一緒に、
   いつかおじいさんの思い出されることもあると思う。
   でも本当にこの文章で言いたいことは、
   自分自身の悲しみなのではないかと思う。」
  読み手の体験によって、書かれていない深い悲しみを感じることもできるんですね。
  たまたま、『だいじょうぶだいじょぶ』(いとうひろし、1995・講談社)を読みました。
  娘さんが悲しみを今すぐ感じることはなくても、
  かわいがられていたということはあとできっと思い出すだろうし、
  おじいちゃんはきっとそれで満足してくれるだろうと、そんな風に思いました。

 

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『半月館のひみつ』
ポール・フライシュマン作
谷口由美子訳
1993年・偕成社

苦難の少年に寄せられる共感と祈り
 主人公の少年アーロンは生まれつき口がきけません。母さんと二人暮しですが、その母さんが町に出かけたまま、帰ってきませんでした。
  心配でいてもたってもいられないアーロンは、母さんをさがしに、雪の中をとびだしました。そして、道に迷い、「半月館」という宿屋でぶきみなグラッグルばあさんにつかまり、働かされ、家に帰してもらえなくなってしまいました。人の夢をのぞき見しては金品をまきあげるグラッグルばあさん、次々おこるおそろしいできこと。「半月館」から逃れ、母さんの腕の中に帰るために、アーロンは頭をつかって格闘します。

(たまちゃん)

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