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好きなことを続けていれば人生は楽しい
・・・・・ October 10
 

トラベリングパンツ表紙  

『アンジェリーナはバレリーナ』
キャサリン・ボラバード/文、
ヘレン・クレイグ/絵、
おかだよしえ/訳
2003年・講談社

[内容紹介]
 ねずみのアンジェリーナは、バレエが大好きな女の子。おどりだしたら、用事も約束も、みんな忘れてしまいます。朝起きるとベッドの上でおじきのポーズ。「アンジェリーナ!学校に遅れますよ!」とお母さんに注意されても知らんぷり。学校へ行く途中では、花だんをとびこえようとしますが失敗してこわしてしまいます。遊び時間には、くるくるおどりまわって校庭をひとりじめ。勉強もお手伝いもせずにおどってばかりのアンジェリーナに困ってしまったお母さんは、お父さんに相談します。
「ほんもののバレリーナになりたいなら、ちゃんとレッスンにいかなくちゃっね。」お父さんが思いついた考えは、バレエ着とバレーシューズをプレゼントし、リリー先生のバレエ教室に通わせることでした。
 

 

   

好きなことを続けていれば人生は楽しい (はしの)


 ねずみのアンジェリーナは、バレエが大好きな女の子。おどりだしたら、用事も約束も、みんな忘れてしまいます。朝起きるとベッドの上でおじきのポーズ。「アンジェリーナ!学校に遅れますよ!」とお母さんに注意されても知らんぷり。学校へ行く途中では、花だんをとびこえようとしますが失敗してこわしてしまいます。遊び時間には、くるくるおどりまわって校庭をひとりじめ。勉強もお手伝いもせずにおどってばかりのアンジェリーナに困ってしまったお母さんは、お父さんに相談します。
「ほんもののバレリーナになりたいなら、ちゃんとレッスンにいかなくちゃっね。」お父さんが思いついた考えは、バレエ着とバレーシューズをプレゼントし、リリー先生のバレエ教室に通わせることでした。

 アンジェリーナのお父さんが思いついた、好きなことを思いっきりさせよう、という考えはとてもステキです。それ以上に、「二度とバレリーナのまねをするのは、許しませんよ!」とおどることを一度禁止したにもかかわらず、お父さんと相談し、バレエを習うことをゆるしたお母さんはもっともっとステキです。なぜならば、学校に遅刻し、家のなかでドタバタしているアンジェリーナの姿を毎日みているお母さんにとっては、バレエを習い始めることで、ますますアンジェリーナの行動がエスカレートするのではないかと心配であったに違いないからです。
  さいわいなことに、アンジェリーナは、バレエ教室に通い始めたその日から、とてもききわけのよい子になり、家の手伝いをし、学校にも遅刻しなくなります。アンジェリーナのお母さんの心のうちを想像すると、よい方向に動き出したことに同じ親としてホッとすると同時に、好きなことが思いっきりできるようになっただけでなく、毎日しかられないようになったアンジェリーナのことを自分のことのようにうれしく思いました。

 夢に見るくらいに大好きなことをわが家の子どもたちにも見つけてほしいと願っています。しかし、夢中になるほど好きなことを、自分の力だけで子どもたちが見つけることはなかなかむずかしいものです。そうかといって、あれをしろこれをしろと、親が習い事を子どもに強制することには抵抗があります。
 だから、子どもたちの日頃のちょっとした言動をとらえて、興味をもっていそうだなと感じたら、ためしにやってみる? と声をかけてみました。その結果、今、4年生の息子はピアノと水泳、2年生の娘はピアノと英会話を習っています。残念ながら、自分から積極的に習いたいと言いだしたのは、娘の英会話だけです。それでも、二人ともどれもやめずに数年間通い続けていて、それぞれの場で友だちをつくり楽しく時間を過ごしているようです。
  ピアノの練習があまり好きではない息子ですが、年に一回ひらかれる大きな発表会を終えたあとの「ちょーキンチョウしたけど、おもしろかった。またやってみたい。」ということばを聞いてうれしくなったり、水泳の進級試験に落ちてがっかりして帰ってきても、翌月の試験日には「今日は受かりそうな気がする」と元気よくとびだして行く息子の前向きな姿を頼もしく思ったりします。娘の英会話は、日本語とは違ったことばのリズムや文字のおもしろさを楽しむとともに、お兄ちゃんの知らないことを知っているんだぞ、という自慢のタネとしても効果を発揮しているようです。

 このような子どもたちの姿を見ていると、好きなことを見つけるきっかけの一つとして、とりあえず習い始めて、だんだん好きになるという方法もあるかもしれないと思っています。アンジェリーナがバレエを好きになったきっかけが何であったかはわかりませんが、「学校へなんか、行きたくないわ。わたし、ずっとおどっていたいの。」と思えるほど大好きなバレエに出会えたアンジェリーナは、とてもしあわせです。
 やがてアンジェリーナはマドモアゼル・アンジェリーナという有名なバレリーナになります。現実の世界では、かならずしも好きなことで成功するとはかぎりませんが、”好きなことを続けていれば人生は楽しい”、という作者の思いがこの本からは伝わってきます。おどることが大好きなアンジェリーナならば、有名なバレリーナになることができなくても、おどりつづけてること自体をしあわせに感じることができたのではないでしょうか。

 マドモアゼル・アンジェリーナがおどる劇場のテラス席に、お母さんとお父さんが座っていることを娘が教えてくれました。絵本のなかで、お母さんとお父さんはいつも一緒にいて、アンジェリーナを見つめています。”私たちはここにいて、いつもあなたを見ているよ”、というメッセージをつたえているかのようです。そのおかげで、アンジェリーナは大好きなことを見つけることができ、そしてそれを続けてこられたのかもしれません。
 さて、私は子どもたちにメッセージをつたえているでしょうか。はたして子どもたちはどんな舞台に立つのでしょうか。ちょっと不安ではありますが、とても楽しみにしています。

 

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