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「よい子」から外れると、こんなにたのしい!?
・・・・・November 11


『よい子への道』 
おかべ りか
1995年・福音館書店

[内容紹介]
『よい子への道』を開くと、「その1」から「その25」まで、よい子になるための厳しくも愉快な修行の道が次々と指し示されています。まず「学校へもっていてはいけないもの。1.ことばづかいのわるい石、2. ひげのはえるくすり、3.超強力またたび、4.自分とそっくりなロボット」など学校生活はいうまでもなく、子どもの生活の多岐にわたって、「〜してはならない」おきてが掲げられています。  
 もちろん、これを読んだ子どもは、だれ一人として「よい子への道」の修験道を進もうとはしません。むしろ、掲げられたおきてをことごとく破りたくなり、たちまち「わるい子へ道」をひた走りたくなるのです。それもそのはず、「よい子への道」の「〜するべからず」事項は、どれもみーんな、子ども達がやってみたくてたまらないことだらけなのです。

 

「よい子」から外れると、こんなにたのしい!? (たまちゃん)

 
『よい子への道』を開くと、「その1」から「その25」まで、よい子になるための厳しくも愉快な修行の道が次々と指し示されています。まず「学校へもっていてはいけないもの。1.ことばづかいのわるい石、2. ひげのはえるくすり、3.超強力またたび、4.自分とそっくりなロボット」から始まって「遠足でしてはいけないこと」「保健室でしてはいけないこと」など学校生活はいうまでもなく、「サンタクロースがきたときしてはいけないこと」まで、子どもの生活の多岐にわたって、「〜してはならない」おきてが掲げられています。
 もちろん、これを読んだ子どもは、誰一人として「よい子への道」の修験道を進もうとはしません。むしろ、掲げられたおきてをことごとく破りたくなり、たちまち「わるい子へ道」をひた走りたくなるのです。それもそのはず、「よい子への道」の「〜するべからず」事項は、どれもみーんな、子ども達がやってみたくてたまらないことだらけなのですから。

 たとえば、子ども達が「うわー、やってみたーい。」「いいなー、いいなー。」と羨望のまなざしで見入るのは「留守番の時してはいけないこと」の中の「おふろでかんてんゼリーをつくる」とか「遠足でしてはいけないこと」の「超デコレーションケーキをもっていく」とか「夏の夜にしてはいけないこと」の「宇宙人に宿題をやってもらう」とか「おふろでしてはいけないこと」の「おならをあつめてボンベにいれる」などなど、挙げればきりがないのです。作者のおかべりかさん、子どもがやりたいいたずらを心憎いほどよくご存知です。
 というわけで、ぜひ子どもたちと『よい子への道』を楽しんでください。

 さて、この『よい子への道』をクラスで読んだとき、一番前で聞いていた翼くんが「先生、これ、『わるい子への道』やで。『よい子への道』ちゃうわ!」と叫びました。
 翼くんは、学習も運動も生活も、どれも手を抜くことのできない、努力と根性のかたまりみたいな子です。低学年のころから、先生に言われたことは額面通りに、いえ額面以上に受けとめ、約束事は頑なに守り通します。スポーツ少年団に所属しサッカーに夢中ですが、コーチの期待以上に全身全霊で練習に励むような、「思いこんだら試練の道」をまっしぐらタイプです。なにごとも努力でクリアーしてしまうので、クラスのみんなからは、「マルチな優等生」と見られているのか、必ず学級委員に推薦されてきました。でも、翼くんは学級委員になった以上はクラスをまとめなくては、先生の言うとおりにみんなを行動させなくては、と必死になり、自分の役職が重圧としてのしかかることもしばしばだったようです。家では、「クラスのみんなが静かにしてくれない。」とか「先生に言われても守らない。」と嘆いては涙を見せ、お母さんを心配させたそうです。
 その翼くんが、「これ、『わるい子への道』やで。」と叫んだときの表情は、何かから一気に解放されたようなすがすがしさでした。

 それからというもの、翼くんは、学級委員には選ばれたものの、先頭きって、いたずらをするわ、下ネタギャグは飛ばすわ、みんなと一緒になって騒ぐわで、優等生学級委員からは程遠い学級委員になってくれました。相変わらず、宿題や家庭学習は必要以上に努力するし、運動も負けじとがんばってます。基本的には先生にとっても協力的な子だけど、すごーく肩の力を抜いて生活できるようになったし、生活を楽しむ心のゆとりがでてきたような気がします。
 さて、そうした一学期の終わりごろ、子ども達とくだらなーい冗談をとばしあいながら遊んでいた私に、同じ輪の中にいた翼くんは「先生、ぼく、先生みたいな下品でおもろい先生初めてやで。」とのたまいました。進んで本を手に取る子でもなかったのに、「本は面白い!」と実感したせいか、近ごろは自分から読書するようになりました。こんなふうに、彼が、今までの学校観や教師観、読書観から解放されてきたのも、『よい子への道』でスタートを切ったおかげかなと、おかべりかさんに感謝しています。

 

 (はしの)

 翼くんが
 この本と出会うことができたこと=先生(たまちゃん)と出会うことができたこと、
 本当に良かったと思います。
 窮屈だった良い子の翼くんから解放されたようで、
 この文章を読んでホッとしてしまいました。
 気をつけなければいけないと常に戒めているつもりでも、
 礼儀正しさや成績の良さなど表面に見えている部分だけで
 その子どもを判断してしまうことがあります。
 (実は大人に対しても同じですが)
 そういうことが、知らず知らずのうちに、
 こどもにも影響を与えているのかもしれない。
 大人の責任は重大です。

 

 (ねらあ)

もしも翼クンがわたしの学級にいたら、きっとますます彼を「よい子」にしてしまったことでしょう。
そしてわたしは悪い教師だったなぁと自省せざるを得ません。
今のわたしは担任ももたない講師ですが、来春から担任を持つようになります。
その前にこの作品紹介とたまちゃん氏の言葉に触れてよかったと思います。
ここに来ることなく担任になっていたら、きっとわたし自らが学級の警察官となり裁判官となって翼くんを手足として部下としてしまったでしょうに、4月からであう翼クンたちには、楽しく「悪い子」になってもらえるようがんばります。

 

 

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『みしのたくかにと』
松岡 享子/作
大社 玲子/絵
こぐま社
1998年

子どもの信号を読めるおとな、読めないおとな

 みしのたくかにと・・・…なんて、なんて奇妙はタイトル? 横書きを右からよんだ教科書を知っているお年よりとカンの働く子どもならすぐわかるでしょう。さあもうわかりましたか。
 立派な王様になるようにと、日々お城で勉強や行儀作法に追われる王子様。当然、友達もいないし、相談相手もいません。唯一の楽しみは馬車に乗っての散歩でお城の外の世界をみることだけ、そこにはのびのび遊ぶ同年代のこどもたちの姿が。さびしさと不満の山は日に日に高くなっていきます。王子様の教育は王様が留守になるとエスカレートしていきます。ハンガーストライキで必死に抵抗する王子様は「いなれしもかおがさあ」「いなれしもかかいす」「みしのたくかにと」という食べ物でなければ食べないといいます。

(モモ)

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