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子どもの信号を読めるおとな、読めないおとな

・・・・・November 11


『みしのたくかにと』
松岡 享子/作
大社 玲子/絵
こぐま社
1998年

[内容紹介]   みしのたくかにと・・・…なんて、なんて奇妙なタイトル? 横書きを右からよんだ教科書を知っているお年よりとカンの働く子どもならすぐわかるでしょう。さあもうわかりましたか。
 立派な王様になるようにと、日々お城で勉強や行儀作法に追われる王子様。当然、友達もいないし、相談相手もいません。唯一の楽しみは馬車に乗っての散歩でお城の外の世界をみることだけ、そこにはのびのび遊ぶ同年代のこどもたちの姿が。さびしさと不満の山は日に日に高くなっていきます。王子様の教育は王様が留守になるとエスカレートしていきます。ハンガーストライキで必死に抵抗する王子様は「いなれしもかおがさあ」「いなれしもかかいす」「みしのたくかにと」という食べ物でなければ食べないといいます。

 

子どもの信号を読めるおとな、読めないおとな

 (モモ)

 みしのたくかにと?どう読んだらいいの?書店の棚にあった小ぶりの絵本に目が止まり、いったいなにとついつい頁をめくりました。そのときはなかなか面白いと思いすぐに買ってきて、娘に読んであげました。

 絵本では王様が城を留守にするときに、王子がもっと賢くなっていないと・・・と言い残したがゆえに、賢くならなかったら自分たちは首になると慌てた大臣たちが教育の名のもとに王子様の自由を奪いとっていきます。ハンガーストライキされた大臣たちは困り果て、国民に不思議な名前の食べ物を知らないかたずねるのですが。そこに王子様の気持ちを察したおばさんが現れて、ユーモアたっぷりの知恵と勇気で助けてくれます。そして、王子様は他の子どもたちと遊ぶ自由を得るのです。
  最後の絵ではどこに王子様がいるか探してしまうほど、普通の元気な子どもになっていきます。リズミカルなストーリー展開といい、おばさんがまじめな顔して大臣たちをだますあたりは爽快です。だからでしょうか読んであげたこどもの反応はというと、逆さことばを素直に楽しんでくれて、自分の名前を逆さにすると「・・・・・」な具合に次々と頭をひねっている姿はほほえましくもあります。

 しかし、何度か読むうちに、救世主がいない(少ない)いまの子供達はいったい打開策をどこに見出すのかと頭の片隅で思いをめぐらすようになりました。親に隠れて悪いことの蜜の味を覚えて親の支配下から離れていくのでしょうか。それとも自分をコントロールできなくなって心の病になっていくのでしょうか。複雑な現代社会を垣間見るようで、ハッピーエンドなストーリーなのに、ちょっとむなしさも感じるようになりました。そんな矢先、娘の小学受験が失敗しました(といっても1校しか受けませんでしたが)。結果を知った娘は中学は頑張るねと幼心に親を気遣ってか口にしました。親のためにいい子になりきろうとする娘のけなげさに失敗したことよりショックを受けてしまいました。

 娘に良い教育をと願ったのですが、結局自分は絵本の大臣たちと変わらないのかもしれません。娘も笑ったり泣いたり悲しんだりする普通の子どもなんです。絵本に出会えたからこそ気づかせてもらえたのかなと思い、子どもの気持ちをくみとり、このおばさんのようになりたいと前向きに思うこのごろです。

 

 (はしの)

 この物語の中に出てくるおばさんのように、
 子どもの近くにいる親以外の第三者の存在が
 今、必要とされているのかもしれないですね。
 おじいちゃん、おばあちゃんと孫との関係をみていると
 その包容力というのか心の余裕というものは、
 親のそれとは違う種類のものなんだと感じています。
 (モモ)さんと同じ親として
 「このおばさんのようになりたい」と反省することが多い私ですが、
 結局、親は親なんだよなあ、と思ってしまうのがホントのところです。

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『よい子への道』 
おかべ りか
1995年・福音館書店

「よい子」から外れると、こんなにたのしい!?

『よい子への道』を開くと、「その1」から「その25」まで、よい子になるための厳しくも愉快な修行の道が次々と指し示されています。まず「学校へもっていてはいけないもの。1.ことばづかいのわるい石、2. ひげのはえるくすり、3.超強力またたび、4.自分とそっくりなロボット」など学校生活はいうまでもなく、子どもの生活の多岐にわたって、「〜してはならない」おきてが掲げられています。  
 もちろん、これを読んだ子どもは、だれ一人として「よい子への道」の修験道を進もうとはしません。むしろ、掲げられたおきてをことごとく破りたくなり、たちまち「わるい子へ道」をひた走りたくなるのです。それもそのはず、「よい子への道」の「〜するべからず」事項は、どれもみーんな、子ども達がやってみたくてたまらないことだらけなのです。

(たまちゃん)

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