小関智弘(こせきともひろ)
1933年、東京生まれ。 都立大学附属工業高校卒業後、旋盤工として町工場に勤務する。 そのかたわら、執筆活動をつづけ、作品を発表する。 ◎おもな著書 『大森界隈職人往来』(朝日新聞社、81年)--第8回日本ノンフィクション賞 『粋な旋盤工』(風媒社)、『春は鉄までが匂った』(晩聲社)、『羽田浦地図』(文芸春秋)ほか
発行日 | 1985年06月発行 |
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判型 | A5判・並製 |
頁数 | 208ページ |
価格 | 本体 2136円+税 |
ISBN | ISBN978-4-8118-0049-3 |
Cコード | C0336 |
町工場から生まれる〈やわらかな技術〉が、大企業の工場ではできない仕事をこなしてしまうのはなぜか。ありふれた旋盤を使って鉄を削る仕事のなかで、耳は切れ味を聞き、鼻は鉄の匂いをかぐ。よい工場はよい道具を作り、結果として〈人〉もつくりあげてしまう。
I……鉄とのコミュニケーション
いい音、澄んだ音/銅の色・ステンレス綱の色/旋盤工がなにを言うか/
鉄は匂うか/体のなかの“カナリア”/ロボットは鉄と語り合えるか
II……手で獲得する人生
熟練への玄関口/壁紙も鉄も伸びる/左甚五郎の鉋/ウデと指
III……やわらかな技術
水のなかにドボン/手配師の誤算/“釣竿”を削る
コラム◎紙の上で鉄を削った
IV……ハンドルのない機械
これまでの旋盤とNC旋盤/NC入門/わたしの職業訓練大学
V……技術の“いま”
熟練の意味/芯出しをめぐる技術/職場がいきいきするとき/
バイトが退化する/技術の復権